志半ばで一匹の猟犬が死んだ。
お調子者だが、まっすぐで、いい奴だった。

別に珍しくもない、二秒に一度はある話。この街ではそんなことは日常茶飯事だ。
だけど、誰かにとっては一生に一度の悲劇。もう取り返しようのない、悲しい現実だ。

大切な人を失うのはあまりに悲しくて、その胸に空いた空虚な穴を埋めたくて、人は復讐にすがる。
それでは満たされないと知りつつも、それしかこの空虚な穴を埋める方法がないから。

そうして復讐は復讐を呼び、悲劇は拡大していく。
終わりなく、際限なく、それはさながらメビウスの輪のように。

トーキョーN◎VA The Detonation 「Revengers' Mebius」

歪んだ運命の環、リベンジャーズメビウスを断ち切れるのは君達だけだ。

■シナリオハンドアウト
※キャストには以下の設定がつくことになる。RLはキャスト作成時、もしくはアクト前にこのハンドアウトを提示し、PLと相談すること。
『イヌ』:渋谷忠志と言う後輩がいる
『マネキン』:渋谷忠志という恋人がいる
『カタナ』:クーゲルから殺しの依頼をよく受ける
『ニューロ』:和泉藤嵩から依頼を受ける
・イヌ:ブラックハウンド機動捜査課
シナリオコネ:渋谷忠志(しぶや・ただし)
推奨スート:スペード(面倒を見てやっている後輩)

 「先輩のハンドル、格好いいッスよね」それが君が面倒を見てきた新人、渋谷の口癖だった。お調子者だがまっすぐで正義感の強い、いい奴だった。だが、その渋谷はもういない。彼は初の単独任務中に殉職したのだ。彼の訃報を聞いたとき、君の胸に怒りに似た気持ちが湧き上がった。だが私情ではなく一匹のイヌとして彼の想いを継いでやろう。それが君にできる精一杯の追悼だ。

・マネキン:娼婦
シナリオコネ:渋谷忠志(しぶや・ただし)
推奨スート:ハート(恋人)

 こんな稼業をしていると男なんてみんな同じ―身体目当ての浅ましい生物にしか見えなかった。だからだろうか、この子供みたいに正義という夢を追いかけている彼を見て衝撃をうけたのは。
 調子のいい男だったが、一緒にいると安心できた。彼の奇跡的なまっすぐさがまぶしかった。彼が傍にいる、ただそれだけのことが幸せだった。だが、小さな幸せは彼の死により唐突に破られた。

・カタナ:殺し屋
シナリオコネ:クーゲル
推奨スート:スペード(腕を買われている)

 君はあのクーゲルからも何度も殺しの依頼を受けたことがある。交わした言葉は多くないが同じ殺し屋あがりという経歴ゆえだろうか、彼には何か共感できるようなものを感じていた。
 だが、今君の目の前にいるクーゲルからはそれを感じない。今回の標的として渡されたホロに写っているのはクーゲル、どうやら彼を騙る偽者という話だが……。

・ニューロ:ハッカー
シナリオコネ:和泉藤嵩(いずみ・ふじたか)
推奨スート:スペード(腕を買われている)

 君はニューロな腕前で知られるニューロだ。そんな君の顧客は幅広く、あの和泉藤嵩から依頼が来ることもある。
 今回秘密回線で接触してきた彼からの依頼は元日本軍の情報将校が製作した電脳ドラッグ"ホワイトアウト"の調査と撲滅だ。あのドラッグにはニューロな友人達もやられている、軍の後始末というのはあまりいい気はしないが放っておくわけにはいかない。

―シナリオスペック―

必要神業:
 本シナリオは≪制裁≫等のアドレスを入手できる神業、≪電脳神≫等の電脳神業が必要である。
 これ以外に2枚以上の防御神業がない場合、ゲストの即殺神業のみでキャストが死ぬ可能性がある。

主な情報収集技能:
 本アクトで主に使われる社会技能として<社会:ストリート><社会:警察><社会:ウェブ><社会:N◎VA><コネ:渋谷忠志><コネ:クーゲル>が挙げられる。

キャスト間コネクション:
 キャスト間コネは『イヌ』→『マネキン』→『カタナ』→『ニューロ』→『イヌ』の順で取得する

達成値上限
 本シナリオに達成値上限はない。大体23〜25辺りを目安にしてもらえるといいだろう。

特記事項:
 シナリオの特記事項ではありませんが、僕は基本的に情報開示式のルーリングを行います。
 具体的に言うと、次に調べられる情報、どの情報がイベントフックになっているかなどシナリオ構造などはどんどんと開示していくルーリングをします。
 これによりアクト構造の先読みをPLに強制しないため、アクトの事故率は低下しロールプレイにより集中できるようになります。反面、RLが行動指針などを出してくるため「させられている」という印象を持ってしまう恐れもあります。
 情報開示式のルーリングを嫌う人がいた場合はなるべくその辺の口出しはしないようにルーリングしますが、基本的に情報開示式のルーリングを行っていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。

 

戻る