魔剣

 多くの英雄譚において魔剣や聖剣といった魔法の武具が存在します。
 GURPSマジックによって魔化呪文により武器や防具を強化するデータが紹介されましたが、ここではより多彩な魔法の武器や防具のデータを紹介したいとおもいます。
 業物のルールとあわせて使う事によりさらに武器に幅が出ることでしょう。



魔剣の所持

 大半の世界において「魔剣」は世界に数多く存在するものではなく、流通することがごく稀であることから基本的に金銭で購入することは出来ません。
 また、データ的にも金銭で購入出来るとなるとバランスが崩れかねないという恐れもあります。

 そこで、魔剣は基本的にGMの許可を得てからCPを消費して獲得します。
 また、「魔剣」と称していますがここで紹介しているものは剣だけでなく武器全般は勿論のこと盾や鎧でも「魔剣」とすることが出来ます。
 百鬼夜翔の「妖具」のルールを併用する場合はその他の小物などでも「魔剣」として扱うことが出来るでしょう。

 もしも冒険中に魔剣を手に入れた場合は、魔剣のCPを支払い終わるまで成長でCPを払わなくてはなりません。
 ただしそれ相応の試練を経て手に入れるなどした場合、GMはこのCPを支払わせること無く魔剣を所持させても構いません。(一部だけ払わせると言うものでも構いません)
 もっとも、一人のPCばかり優遇しすぎてしまうのは決して良い事ではありません。GMは他のPCが不満を持たない様に心がけてください。

 逆に冒険中に魔剣を失った場合、「絆の魔剣」でないのならばそのキャラクターはCP総計が減少してしまいます。
 ただし、いつか他の魔剣を手にした時、新しい魔剣を取得するのに必要なCPがこのとき減少したCP総計と同じ分だけ低下します。
 勿論ですが、最低でも0CPでCPを稼ぐことは出来ません。

 また、魔剣によっては強力な力を持ちながらしかしそれに対する代価を請求するものもあります。
 そう言った魔剣の呪いも紹介します。
 呪いがかかった魔剣は魔剣所持の際の必要CPを低下させます。
 もしも呪いの方が強力で計算の結果CPがマイナスになった場合でも0CPの魔剣として扱います。


※魔剣をより多彩に

 以下に魔剣の能力を列記しましたが、魔剣によっては使用者の運命が定められたりまたそれ以外の特殊な効果を付与するということもあるでしょう。
 魔剣には、所持者には特殊効果として有利特徴や不利特徴を付与させることが出来ます。
 この際有利特徴は魔剣効果、不利特徴は呪い効果として再現します。
 具体的な例に関しては後述のサンプル魔剣を算用してください。


妖具と魔剣

 GURPS百鬼夜翔において妖力などを賦与するアイテム「妖具」が紹介されました。
 この「妖具」はコンセプト的に「魔剣」に非常に近いものであり、これを応用することにより「魔剣」をより多彩に表現することができる様になるでしょう。
 ただし、「妖具」と「魔剣」は以下の点において差異があるので注意してください。

「魔剣」は『限定』できない
「魔剣」の『限定』は『呪い』として扱う。厳しい限定は−15CP、普通の限定は−10CP、ゆるい限定は−5CP
「魔剣」は最低0CPまでであり、いかに呪いが強力であろうともCPを稼ぐことはできない

「魔剣」に妖術を付与する場合、精度レベルは14で固定される
「魔剣」に妖術を付与する場合は威力レベルは3までとする

「魔剣」は「妖具」と『技能付与』のルールが異なる、「魔剣効果」の『技能付与の魔剣』参照のこと
「魔剣」の入手法と喪失した場合について若干ルールが異なる、前述の「魔剣の入手」参照のこと



魔剣効果


意志を持った魔剣  10CP

 意志を持つ武具、インテリジェンスソードの存在は多くの英雄譚で語られます。
 ここではそのような意志を持つ武具の作成に関するルールを紹介します。
 意志を持った魔剣は「常識」の特徴を持っており、使用者とテレパシーで会話することが出来ます。
 使用者が愚かな行動をしようとした場合「常識」と照らし合わせて警告してくれます。
 また、他にも様々なアドバイスをしてくれるでしょう。


危険察知の魔剣  10CP

 危険が近づくと鍔鳴りがするなど警告してくれます。
 「意志持つ魔剣」の場合は直接テレパシーで教えてくれるでしょう。

 危険が近づいている場合、知力14として「危険察知」の特徴と同様の判定を行い成功すると危険を警告してくれます。


絆の魔剣  5CP

 魔剣と使用者が見えない絆によって結ばれています。
 たとえ魔剣が盗まれようと、たとえ魔剣を無くしてしまおうとも、取り上げられようとも絆の魔剣は使用者の手に帰ってきます。
 もっとも、それが必要な時すぐかは分かりませんが……。
 少なくともシナリオが変わる際には絶対に使用者の手に戻ってきます。


技能付与の魔剣  CP様々  

 魔剣を持つ者に技能を付与することが出来ます。
 技能は一回賦与されるごとに1点疲労し、また付与された技能は10分間の間しか使用できません。
 効果が切れた後に再び賦与することに制限はありません。

 技能付与の魔剣の必要CPは賦与される技能の難易度と、技能レベルによって変化します。
 その技能の基準となる能力値が13として、賦与する技能を取得するのと同じだけのCPが必要です。

 「意志を持つ魔剣」の場合、魔剣自身も賦与する技能を使用することが出来ます。
 もっとも、魔剣が使える技能などごく限られたものしかありませんが……。
 ちなみに魔剣は、武器のままで自分自身を振ることは出来ません。

例)
 例えば<槍>技能16レベルを賦与させる場合を考えます。
 この際魔剣の能力13で<槍>技能を16レベルで習得するためには16CP必要です。
 そのため「技能付与/<槍>16」は16CPとなります。


剣匠の魔剣  5CP/Lv  上限:3レベル

 魔剣の魔力により、使用者は本来よりも優れた武器の使い手になることが出来ます。
 武器にのみしかこの効果を付与することは出来ません。
 剣匠の魔剣を使用した場合命中判定にLv分だけボーナスがあります。


幻想の魔剣  30CP

 実際の刃ではなく、魔力による非実体の刃を持つ魔剣です。
 刀剣類にのみしかこの効果を付与することは出来ませんし、安物も業物も存在しません。
 あらゆる防具の受動防御、防護点を無視します。
 しかし、この魔剣を受けに使用することは出来ません。


殺戮の魔剣  10CP/Lv  上限:5レベル

 血を吸い続けた魔剣は信じられないほどの殺傷力を持ちます。
 武器にのみしかこの効果を付与することは出来ません。
 殺戮の魔剣によるダメージダイスで「Lv」以下の出目が出た場合、そのダイスの出目が6として扱います。


しゃべる魔剣  5CP  前提:意志を持った魔剣

 使用者とのテレパシー会話以外に実際に音声を出してしゃべることが出来ます。


召喚の魔剣  10CP

 どこにあろうとも、使用者が望めば一瞬で手元に準備された状態になる魔剣です。
 鎧の場合は一瞬で装着した状態になります。


精霊力を持つ魔剣  20CP

 四大属性系のどれかの魔力が込められた魔剣です。
 刀剣類にのみしかこの効果を付与することは出来ません。
 納刀中は普通の剣ですが、抜刀すると一目で精霊力を宿していることが分かります。

 大地ならば刀身をダイヤモンドが包み込みます。
 火炎ならば刀身を炎が包み込みます。
 水ならば刀身が凍りつきます。
 風ならば刀身が雷を帯びます。

 どの属性にせよ、与えられるダメージが1D上昇します。


魂喰らいの魔剣  20CP

 相手の生命力を喰らう魔力のこもった魔剣です。
 武器にのみしかこの効果を付与することは出来ません。
 魂喰らいの魔剣による攻撃が命中し、ダメージを与えた場合、負傷と疲労が1D点回復します。
 魂喰らいの魔剣の魔剣で攻撃した場合、命中したしないに関わらず一回攻撃するごとに1点疲労します。


鉄壁の魔剣  5CP/Lv  上限:3レベル

 守護の魔法がかかった魔剣です。
 武器か盾にのみしかこの効果を付与することは出来ません。
 武器ならばその武器による受けが、盾ならばその盾による止めにLv分ボーナスがあります。


博識の魔剣  1CP/Lv 前提:意志を持った魔剣

 この魔剣は意志を持っているばかりか様々な知識を有しています。
 Lv個の精神系技能を14レベルで習得しています。
 ただし、魔剣は基本的に交渉作業をすることは出来ないでしょうし、また罠を解除したりと実際に作業する技能を使用することは出来ないでしょう。


非殺の魔剣  30CP

 絶対に他者を殺害しない魔力がこもった魔剣です。
 非殺の魔剣の魔力がかかった武器で攻撃し、対象が死亡した場合は気絶状態となります。
 これは結果的に自動死亡ダメージであろうと気絶となります。(ただし、その後普通の武器で攻撃すれば0ダメージでも死亡します)
 負傷は残ってしまいますが、この魔剣の使用者が望めばこの魔剣によって与えられたダメージは一瞬で完治します。 


必中の魔剣  40CP

 この魔剣による攻撃は何があろうと必ず命中する魔力が込められています。
 武器にのみしかこの効果を付与することは出来ません。
 技能判定で失敗してもそれがファンブルで無い限り必ず命中します。


分身の魔剣  10CP/Lv  上限:3レベル

 武器が分身しいくつにも見える魔剣です。
 武器にのみしかこの効果を付与することは出来ません。
 分身の魔剣による攻撃に対する能動防御にLv分のペナルティがかかります。


変形する魔剣  5CP

 魔剣が変形してアクセサリーとなります。
 アクセサリー化している場合は魔法によって探らない限り魔剣であることは分かりませんし、アクセサリー化している最中は重量は0として扱います。
 アクセサリー化している魔剣は使用者が望むと一瞬で準備された状態になります。
 鎧の場合は一瞬で装着した状態になります。


魔獣殺しの魔剣  5〜15CP

 特定の魔獣に対して強力な効果を発揮する魔剣です。
 この魔剣が魔力を発揮する相手に命中し場合、クリティカル扱いになります。ただし、対象は防御を試みることが出来ます。
 命中判定でクリティカルした場合、クリティカル表を3回振ってその中で最も良い結果を適用します。

 この魔剣は効果を発揮する魔獣を決定する必要があります。
 その魔獣の登場頻度により、必要なCPが変わってきます。

滅多に出会わない(5CP):長大なキャンペーンセッションで一回程度の登場頻度です。魔神や古代龍などが適当です。
ほとんど出会わない(10CP):数セッションに1回登場する程度の登場頻度です。魔獣や竜やヴァンパイアや巨人などが適当です。
あまり出会わない(15CP):1セッションで1回登場するかしないか程度の登場頻度です。ゴーレムや、ルナルの邪術士辺りが適当です。

 また、基本的に魔獣殺しの魔剣がある魔獣は基本的に「魔獣殺しの魔剣」無しではよほどのことが無いと倒せないくらいに強大なのが普通です。普通は勝てないからこのような「魔剣」が生まれるからです。


魔法をはじく魔剣  5CP/Lv  上限:3レベル

 魔力を無効化する魔剣です。
 魔法をはじく魔剣の持ち主は魔法の抵抗に対して「Lv×2」分だけボーナスがあります。


呪い効果


狂戦士の呪い  -20CP

 使用すると必ず狂戦士化してしまう、恐るべき呪いです。
 なお、この呪いは武器のみにしかかけることは出来ません。

 この呪いがかかった魔剣を準備した場合、問答無用でバーサク状態になり何人の敵を倒そうとも戦闘が終了するまで戻ることはありません。
 戦闘が終了した後の回復チェックは普通に行えます。


殺戮の呪い  -10CP

 魔剣ストームブリンガーを始めとしてかなりメジャーな呪いの一つです。
 なお、この呪いは武器のみにしかかけることは出来ません。

 この呪いがかかった魔剣を使用している際は「残忍」の特徴を持っているものとして扱い、絶対に一人以上殺さない限り鞘に戻すことは出来ません。
 一人も殺せないままに戦闘が終了してしまった場合、早急に誰かを殺害しないとバーサクしてしまいます。このバーサークは誰かを殺害するか、使用者自身が死ぬかしないと治ることはありません。
 例えば《誘眠》の呪文で眠らせても、目が覚めればまたバーサーク状態なのです。


制約の呪い  CP様々

 魔剣にかけられた制約です。魔剣を使用しなくても魔剣を所持しているだけで制約は守らなくてはなりません。
 制約を破るためには意志判定が必要で、意志判定を試みた場合成功しても失敗しても1D点疲労してしまいます。
 また、意図せずして制約を破ってしまった場合2Dの防護点無視ダメージを受けます。
 なお制約の呪いは所持者が習得している「誓い」などと同じ制約でもかまいません。ただし、その場合は特徴による意志判定とは別に制約を破るための意志判定が必要です。

 制約の大きさにより得られるCPが変わります。以下にその例を挙げます。

小さな制約(-5CP):相手が武器を構えていない限り攻撃してはならない
大きな制約(-10CP):女性の頼みを断ってはならない
とても大きな制約(-15CP):女性を攻撃してはいけない、誰かを守るため以外の暴力をしてはならない
偉大な制約(-20CP):いかなる生命も殺害してはならない


絶対の制約  CP様々

 制約よりもより強力な制約です。
 この呪いのかかった魔剣の持ち主は制約を破るために意志判定をすることすら出来ません。
 また、意図せずして制約を破ってしまった場合5Dの防護点無視ダメージを受けます。
 その代わりに制約によって得られるCPが2倍になります。


代価の呪い  -10CP

 この呪いがかかった魔剣を使用すると、精力を魔剣に奪われてしまう呪いです。
 この呪いがかかった魔剣を一回使用するごとに1点疲労します。


不幸の呪い  -10CP

 使用するものは不幸になってしまう呪いです。
 この呪いがかかった魔剣を用いた判定の際ファンブル値が1低下します。


夜の剣  -10CP

 夜にしか魔剣が効力を発揮しない呪いです。
 基本的に夜6時から朝6時までしか魔剣効果がありません。なお、他の呪いの効果は昼であろうとも持続します。


魔剣サンプル



聖剣エクスカリバー 30CP

 有名な騎士物語に「アーサー王伝説」があります。
 これについての原典等については不明な部分が多いですが、しかしアーサー王伝説に関する物語や映画などは数多く存在します。
 そんな、アーサー王伝説で欠かせないのがこの聖剣エクスカリバーです。
 王の象徴とも言えるこの剣はまさに支配者の剣、といえるでしょう。

ロングソード
 業物:鋭利2、頑丈3
 魔化:《高速準備》
 魔剣効果:絆の魔剣、剣匠の魔剣3、魔法をはじく魔剣3
 呪い効果:絶対の制約/常に勝利し、王たる行いをしなくてはならない(とても大きな制約)
※この魔剣を持つ者は「カリスマ5」を得ることになります。元々カリスマを持っている場合はレベルが+5されます。これは魔剣効果の一種でエクスカリバーの取得CPの上昇で表現されます。


魔剣ストームブリンガー 25CP

 ストームブリンガーとはイギリスの作家、マイケル・ムアコックが書いたファンタジー小説「エルリック」シリーズにおいて登場する魔剣です。
 様々なゲームにおいても登場するために、名前くらいは聞いたことがあるんではないでしょうか?
 「エルリック」シリーズの主人公、エルリックは病弱な王子でしたが、この魔剣ストームブリンガーを持つことにより強力な戦士となりました。
 魔剣ストームブリンガーは強力な魔剣で、殺した相手の魂を喰らいエルリックは魔剣が喰らった相手の生命力によりその病弱な命を繋ぐことになります。
 エルリックは、この剣で幾多の勝利を得ますが、常に血を求める魔剣ストームブリンガーはエルリックの周りの人物を殺し、遂にはエルリック自身もこの魔剣に殺されることになってしまうのです。

バスタードソード
 業物:鋭利2、頑丈3、斬鉄3、バランス3、必殺3
 魔化:《高速準備》、《鋭さ》3、《確かさ》3
 魔剣効果:絆の魔剣(一度契約すれば逃れられない)、剣匠の魔剣3、殺戮の魔剣5、魂喰らいの魔剣、魔法をはじく魔剣3
 呪い効果:殺戮の呪い、代価の呪い、不幸の呪い
※この魔剣を持つ者は「運命/確約された死(−50CP)」を得ることになります。これは呪いの一種でストームブリンガー取得CPの低下で表現されます。
 GMは1セッションにつき一回、PCの親しい者をこの魔剣により「殺してしまう」と言うイベントを起こす権利があります。


"竜殺しの槍" 20CP

 この魔剣は、特に原典等が存在する魔剣では無く完全オリジナルの魔剣です。
 通常の竜から、古代龍まで、いかに強靭な鱗であろうとこの槍による攻撃を防ぐことはできません。
 しかし、竜を殺すために特化して創られたこの魔剣の魔力により竜以外を殺害することは出来ません。

スピア
 業物:鋭利2、頑丈3、必殺1
 魔剣効果:剣匠の魔剣1、殺戮の魔剣1、魔獣殺しの魔剣/竜、魔獣殺しの魔剣/古代龍、魔法をはじく魔剣1
 呪い効果:制約/竜に苦しめられる者がいるのならば助けなくてはならない(小さな制約)、制約/この槍で竜以外を殺害してはならない(大きな制約)