ようこそ、災厄の街「トーキョーN◎VA」へ
トーキョーN◎VAとは?
「トーキョーN◎VA」の舞台となる世界は「災厄」と呼ばれる天変地異により地軸が傾き激変した世界、「ニューロエイジ」。
かつての列強国は赤道から離れ、氷に閉ざされた。食糧難は危機的で、さらに原因不明の伝染病まで流行した。
そんな中でいち早く立ち直した国家こそ、赤道直下へと移動し常春となった「日本」。合成食料開発の成功により、食糧事情を解消した日本は食糧の供給を対価に鎖国を宣言する。
その鎖国した日本と世界を結ぶ唯一の出島。それが干上がった東京湾に作られた都市「トーキョーN◎VA」。
このトーキョーN◎VAを舞台とした、近未来アーバンアクションRPG。それが「トーキョーN◎VA」である。
画期的なシステム
※N◎VAのシステムではセッションを「アクト」、PCを「キャスト」、NPCを「ゲスト」と呼称する
トーキョーN◎VAは他のシステムとは違う、斬新なシステムだ。
例えばスタイルというシステムは画期的だった。
この、スタイルという概念は他のシステムにおけるクラスの概念に近い。だが、本来一つが当たり前のクラスシステムとは異なり三つ組み合わせることよりその表現力は格段に上昇した。
しかもスタイルとは只のクラスに留まらない。それぞれがタロットをモチーフにしたユニークなものでそのキャラクターの生き方……本当にそのキャラのスタイルを示すことができる。
そういうスタイルの概念はさらに本質現すキー、表面上を現すペルソナによりそのキャストを他のキャストへと説明する際の説得力となる。
トランプを用いることによるプレイスタンスの確立もすばらしい。
ダイスを振る場合、その結果はダイスを振るまでは分からない。しかし、トランプを用いたシステムは違う。
手札の中からいいカードを出せば、その成功率は格段に上昇する。目標値が明確に提示されていれば、カードさえあるならば100%成功させることができる。
これにより、自分のキャラクターはここでは失敗できないという判定を確実に成功させることができる。これはそのキャラクターの譲れないところを他のみんなにアピールすることができる。
また、意図的な失敗によりそのキャラクターを表現することができる。幽霊を信じていない現実派の刑事が、アヤカシに出会ってもその存在を知覚しないなどといったように、失敗一つでもそのキャラクターのスタンスを確立できるのだ。
失敗するのは決してカッコ悪い行為ではない。キャストたちは万能ではないのだ。万能ならばいちいちみんなで仲良しこよしで調べることはない。一人一人が勝手に動けばいいのだ。
また成功失敗をある程度自分でコントロールできるようになったことにより、必要な情報を調べられずアクトが停滞するという事故を防ぐことができる。
そして神業、これはとても革新的な概念だった。
神業とはいわゆる切り札で、スタイルごとに1アクトに1回使える大技である。効果は「天変地異を起こす」「即座に対象を殺す」「死んでも復活する」「どんな相手でも真実をしゃべらせる」など強力なものばかりである。
そう、神業は強力だ。
たとえば殺し屋系のキャストでさえあればどんな相手でも……それこそ最強の殺し屋と呼ばれているゲストも神業を使えば簡単に殺すことができる。
どんな手を使おうと神業以外では神業には勝てない、それが神業だから。
強力すぎる力は、ともすればアクトが崩壊してしまう危機がある。神業は、実際アクトを崩壊させかねない力を持っている。では、なぜこんな強力な神業が必要だったのだろうか?
答えは一つとは思わないが、僕は「カッコつける」ためだと思う。
そんな強力な力を行使する瞬間、神業を使う瞬間はそのキャストの一番の見せ場だ。この権利は、全てのキャストに平等に与えられている。
……気がついただろうか?このシステムがいかにキャストの演出にこだわっているかを。
このシステムは、とても映画的でスタイリッシュなシステムだ。
その表現力の多さ、そして演出性の高さは他のシステムの追随を許さない。
もちろん、ここに挙げたものはN◎VAというシステムの一側面に過ぎない。
他にもシーン制など、画期的な要素は挙げていけばキリがない。
このあまりに革新的なそのシステムは多くのユーザーに受け入れられた……否、熱狂させた。
発売から10年たった現在、N◎VAはもっともポピュラーなシステムの一つである。
もしも貴方がまだN◎VAをプレイしたことがないのならば、すぐに面子を集めてプレイすることだ。
間違いなくそこには新しいTRPGの見地がある。