トーキョーN◎VA-RRシナリオ
「終末のメロディ」

 
リサーチフェイズ/イベント

▼誘拐(カブト)
※リサーチの1シーン目

・場所:アンモニアアベニュー
・登場社会:ストリート、N◎VA


 君は今ノエルの買い物に付き合いアンモニアアベニューの通りを歩いている。
 持たされている荷物の量は多く重かったが、最近仕事が多く心休まる時の少なかった君にとっては久しぶりの平穏な日々だった。

「本当にすいません、『カブト』さん。ちょっとはしゃいて色々と買いすぎたかもしれませんね。あの、やっぱり私も少しは持ちましょうか?」
「その、本当にすいません。『カブト』さんが一緒にいるって言うだけでつい甘えてしまって……(苦笑)」
「欲しいものはあらかたそろいましたし、そろそろ戻りましょうか……あっ、すいません。その、もう一箇所寄って行っても良いですか?」

 ノエルにつれられて向かった先は路地裏にある様々なアクセサリーを売っている露天商の一つだった。

「知っていましたか?ここのアクセサリーってそれぞれに意味があって、特殊な力を持っているっていう噂なんですよ」
 そう言うとノエルは露天商から対になった1組のペンダントを購入しその片方をカブトに渡してくる。*1

「はい、どうぞ。今日付き合ってもらったお礼代わりです」
(効果を聞かれたら)「(ちょこっと悪戯っぽく笑ってから)秘密です」
「では、大分時間も遅くなりましたし今度こそ帰りましょうか」

 ここで≪不可知≫が使用される。*2
 路地裏の急激に周囲の温度が低下し、空からは突然雪が降り注ぐ。冷たい風が吹きあれ、まるで吹雪のような状態になりカブトの視界が一時的に0になる。
 吹雪はしばらくすると唐突に止むが、吹雪が止んだ時ノエルの姿は無かった。

*1
 『ノエル』が渡したのは“絆”ペンダントの相当品だ。
 いつも一緒にいられるようにと願いを込めてペンダントをプレゼントした直後に誘拐されるなんてなんとも皮肉なものさ。

*2
 ≪不可知≫を使用したのはフラウだ。彼女は≪不可知≫の効果でノエルとチームを組み<転移>で退場したのだ。
 ここでの処理は拡大解釈になるのでちゃんとPLに説明すること。
 イベント的にここで『ノエル』は誘拐されないと話が始まらない。ここでPLが打ち消そうとしたらやんわりと止めること。それでも打ち消してくるようならばフラウが≪天変地異≫で打ち消す。
 それでも打ち消してきた場合はイツキが攻め込んできて隙を作り、その隙にフラウによって誘拐される。
 ただし、本当に戦闘せず演出だけで切り抜けること。


▼遭遇(イヌ)
※イヌがハスターのアドレスに向かった場合に発生

・場所:レッドエリア、安アパート
・登場社会:N◎VA、ストリート/・登場目標値:10


 薄汚れたレッドエリアの安アパート……それがハスターが隠れ家だ。
 ハスターはキャストが登場しても驚いた様子はなく、陽気に話しかけてくる。
「よぉぅ!バディ!!手前ぇならここをかぎつけてくると思っていたぜ!」
「まぁた、俺を殺しに来たのかぁ?へっへっへ、面白いじゃねぇか。やってやるよ!」
 次の瞬間、いつの間に取り出したのかハスターの手にはナイフが握られていた。一触即発、という時に奥の部屋から黒染めの和服の男が現れる。*1
「ハスター、貴公の趣味をとやかく言うつもりは無いが任務を忘れるな。ただでさえ、貴公の殺しは噂になっている……ここで争うのは得策ではない」
「『イヌ』殿と申したかな?できればここは穏便に済ましたい……貴公もさすがに二人相手をするのはきつかろう?」
 ハスターは「チッ、分かったよ!さっさかと仕事終わらせちまえば良いんだろぉがよ!」と言って渋々ながらも従う。
 『イヌ』が戦おうとしてもしなくても、次の瞬間ハスターがイツキとチームを組み<転移>で退場する。

*1
 このアクトにイツキを登場させない場合はイツキの代わりにヨーゼルが登場する。
 その際は、覆面をした小柄な老人と描写すること。

▼龍脈の胎動(バサラ&マヤカシ)
※バサラとマヤカシがN◎VAへ向かおうとした

・カムイ新石狩国際空港
・登場社会:ST☆R、企業/・登場目標値:10


 どうやら事件解決の鍵はN◎VAにある。そう思った君達は新石狩国際空港のロビーでN◎VA行きの飛行機を待っている。
 あと少しで乗り込み開始、そう思って君達が外を見た瞬間だった。
 ≪天変地異≫が使用され地震が起こる。*1

 着地直前だった航空機が着地に失敗し爆発炎上する。
 このニューロエイジにおいて地震の予想率は90%を超える、これほど大規模な地震ならばなおさらだ。
 なにか、嫌な予感を感じつつも君達はN◎VAを目指した。*2

*1
 ≪天変地異≫を使用したのはフラウである。演出的には事前に仕掛けておいた遅効性の術が発動したということになる。
 なお、▼誘拐で既に≪天変地異≫を使用している場合は青の皇女により≪天変地異≫が≪ファイト!≫されている。
 なお、≪天変地異≫の効果はST☆Rの龍脈を掌握することである。あくまで、地震はここで何か神業が使用されたことを示すための演出である。

*2
 この地震によりダイヤは乱れるが、バサラとマヤカシは無事にN◎VAへとたどり着ける。
 ニューロエイジの技術を持ってすれば復旧作業はそう大変なことではないのだ。


▼襲撃(カブト)
※「▼遭遇」後のカブトのリサーチシーン

・場所:アサクサ教会
・登場社会:N◎VA、ストリート/・登場目標値:10


 『カブト』は現在アサクサ教会を訪れている。
 色々と探し回ったのだが、彼女の手がかりは要としてつかめずわらにもすがる思いでここを訪れたのだ。しかし、やはり彼女はまだ戻ってきていない。
 そこへ、ペルソナがカタナの男(ハスター)が現れカブトに話しかけてくる。

「ちぃす、ここの教会の人ッスか」
「あ、そうっすか……チッと告解に来たんスけど、神父様呼んでもらえますか?」
(攻撃後)「ヘッ、こいつを防ぎやがるか……つまんねぇ仕事だと思ったが、なかなかどうして。楽しめそうだぜ(ニヤリ)」

 もし、カブトが教会の神父を呼びに行こうとした場合この時点でハスターが攻撃を仕掛けてくる。警戒して動かない場合も痺れを切らして結局攻撃を仕掛けてくる。
 演出なのでこの攻撃を防御するのには特に判定は必要ない。この時点でカット進行へと突入する、もしも登場していないのならば『イヌ』の登場を促すこと。


 『イヌ』の登場と同時にハスターの影からイツキが登場。
 カット進行へと入る。敵はハスターとイツキ。プロット枚数は2+2で4枚。

 1カットが終わるか、ハスターが死亡した時点でカット進行は終了する。
 このカット進行で致死ダメージを受けてもハスターは≪黄泉還り≫を使用しないので注意すること。カット終了時までイツキが生き残っていた場合、≪霧散≫で退場する。
 なおキャストの人数が少ない、もしくは戦力に不安がある場合イツキは登場させないことでバランスを取ること。


 カットが終了すると同時にハスターに≪制裁≫がかかり、完全武装のイヌ達が現れ現場を封鎖する。*1
 イヌ達の指揮官らしき老人(イヌ◎)がキャストたちに向かってケルビムのバッチを取り出す。*2
「ケルビムのスターム=ハウンゼンです。ここにいるハスターは、全世界的な指名手配犯でして我々が身柄を預かることになりました」
「BHKの方には我々の方からも連絡いたしますので、賞金の方に関しては御安心ください」
「一応、現場検証などを行いたいのでしばらく退出してもらえますかな?」*3
 退出してしばらくすると、突然地震が起こる。≪天変地異≫が使用されたことを宣言すること。
 地震がおさまったあとに教会に入ると、ヨーゼルやハスターはおろか完全武装のイヌたちの姿も無くなっている。*4

*1
 ≪制裁≫を使用したのはヨーゼルである。効果は「逮捕礼状」、ハスターの身柄をヨーゼルが確保する。

*2
 なおこの指揮官は変装したヨーゼルである。部下達も浄化派の工作員で本物のケルビムではない。

*3
 ≪制裁≫は拡大解釈ながら、キャストたちを退出させることにより教会内を舞台裏へと変更し身柄を確保すると言う処理をする。そのため、社会戦ダメージを打ち消さない限りここでキャストたちは退出しなくてはいけない。
 もしも社会戦ダメージを打ち消された場合はトループが襲い掛かってくる。この戦闘は演出で処理されるが、その隙にヨーゼルが≪天変地異≫を使用し、地震のどさくさにまぎれ逃走する。

*4
 「▼龍脈の胎動」と同じく≪天変地異≫の効果はあくまでN◎VAの龍脈の掌握である。
 姿が無くなっているのは≪制裁≫の効果であり、≪天変地異≫の効果ではない。


▼夢魔
※襲撃以降の適当なタイミングの舞台裏

・舞台裏


 青の皇女から夢魔による精神戦攻撃がある。
 コンボはアイデンティティ+交渉+夢魔+幻覚+畏怖。
 この精神戦は青の皇女の幼少期、青の皇女が復讐を考えるようになったオリジンを示唆するイベントでもあるため舞台裏ながらも例外的に演出が入る。


演出1:*1
 一人の少女を数人の少年が囲んでいる。ドレスの裾から見える少女の脚は人ではなく山羊のそれである。*2少年たちは口々に呪いの言葉を吐きつつ少女に石を投げてくる。
 赤い空、逆光になって姿が見えない真っ黒な少年たち、奇妙に伸びた歪な少年達の影、次々と投げつけられる礫、間断なく体を襲う痛み。
 れらがあわさり君の精神を圧迫してくる。


演出2:*3
 片田舎にある村の外れ、もはやうちすてられた廃教会。しかし、そこは人里を追われた異形の少年たちの楽園。
 幼い少年たちに本を読んでいる年長の少女。緩やかに流れる穏やかで、平穏な時間。
 しかし、小さな平和は突如として現れた男達によって破られる。
 降り注ぐ銃撃、次々と死に行く異形の少年たち、無表情に全てを破壊する男達の胸に輝く紅い円。
 その円が徐々に迫ってくるように大きくなり、君の精神を圧迫してくる。

*1
 幼い頃に、悪魔の子と恐れられ迫害された青の皇女の記憶である。迫害を受けたトラウマが、彼女に人間への憎悪を抱かせることになる。

*2
 悪魔の一族は肉体の一部が動物のそれと入れ替わっている場合が多い。青の皇女も例外ではなく、彼女の脚は山羊の脚をしている。

*3
 青の皇女は自分と同じ境遇にある異形の子供を引き取って育てていた。
 しかし、そんな小さな平穏は日本軍によるアヤカシ狩りによって破られる。
 目の前で家族同然の子供達を虐殺された青の皇女は日本への深い憎悪を抱くことになる。
 なお、このアヤカシ狩りを青の皇女自身は≪霧散≫によって難を逃れている。


▼楽園に潜むもの
※ミトラスへと向かった

・場所:ミトラスE△EN
・登場社会:E△EN、ストリート/・登場目標値:10


 ミトラスE△ENで聞き込みをすれば(社会:ストリートか知覚で目標値10)ハスター達のアドレスを入手できる。
 またさらに達成値が15以上の場合、ここにいるのがハスターとヨーゼルであることも分かる。

 アドレスの位置はE△ENの郊外、彼らは町から一歩出たウォーカー達の残骸以外何も無い荒野で儀式を行っている。
 キャストが登場した時点で≪天変地異≫が使用されE△ENでの儀式も完成する。(なお、キャスト登場直前に完成した扱いであるために打消しなどは不可能)

 キャストたちの姿を確認するとハスターが嬉しそうに笑いながら
「ヒャァァァッハハハハッ!!遅かったなぁ?CD!もぅ儀式は終わっちまったぜぇ?」
「あとは皇女様がちょいと仕上げをすりゃァ、災厄の再来だァ。人がたくさん死ぬんだぜぇ?サイコーじゃねぇかヒャァァァッハハハハッ!」
 横にいるヨーゼルは、そんなハスターを疲れたような目で見つつ
「この世はもう腐りきっておる、浄化なくして世界の革新は起こりえん。邪魔をするならば、お主らを殺さねばならん」
 これに対してどう答えたにしろ、ハスターが
「手前ぇらだけは俺がこの手で殺さねぇと収まりがつかねぇ。まぁ結局は…死ねってことよぉ!!」
 と叫んで襲い掛かる。カット進行へ


 なお、フェイトがカット進行前のやり取りで≪真実≫を使用した場合、ハスターが嬉しそうに青の皇女がドゥームドモスクにいることや青の皇女が自らの憑依としてリディアを使用していることなどを嬉しそうに話す。リサーチ/情報の「真相」の情報を教えること。
 この情報がで無いままカット進行が終了した場合、カーロスがこれらの情報を持って登場する。

 敵はハスターとヨーゼル、後はイヌとカタナのトループがそれぞれ20人。プロット枚数は2+2+3+3の計10枚。
 キャストの人数や戦力によって、トループは人数を調整すること。
 この時点で青の皇女の≪ファイト!≫によりハスターは≪死の舞踏≫が活性化されており使用することができる。

 

▼聖地へ
※▼楽園に潜むもののカット進行終了後のシーン

・場所:ミトラスE△EN
・登場社会:E△EN、ストリート/・登場目標値:10


 ハスターたちは倒せたが、ここに青の皇女はいない。
 彼等は結局囮、足止めに過ぎなかった……絶望感と敗北感に君達は打ちひしがれる。
 しかし、そんな暗い空気を振り払うようにオンボロ飛行機が爆音を上げて君達のすぐそばに着地する。
 飛行機のドアを開けて出てきたのはカーロス。

「チッ、一歩間に合わなかったか。となると、残されたのはあとワンチャンスってことか……」
(『フェイト』に対して)「とりあえず、お互いどこまで相手のことに知っているかカードの交換といこうぜ。ただ時間がねぇ、とりあえずは乗りなっ!」
(他のキャストに対して)「あんたら、“青の皇女”を追っているんだろ?これから俺はやつの元へ向かう。決着をつける気があるなら乗りなっ!」

 ここでカーロスが飛行機を発進させてからキャスト全員と情報を交換する。*1
 この時点でわかっていない状況や間違っている推測などはリサーチ/情報の「真相」等を参考にここでカーロスの口を通して真相を伝えること。

*1
 なお、この時点で≪脱出≫は使用しない。次のシーンで使用するためだ。


▼選択(カブト)
※▼聖地への次のシーン

・場所:オンボロ飛行機の運転席
・登場社会:他キャストの登場不可


 カーロスは君のみを運転席へと呼んだ。
 しばらくの重苦しい沈黙の後にカーロスが口を開いた

「まぁ、さっき聞いての通りだ。リディア、いや『ノエル』はもう“青の皇女”にのっとられちまってる」
「下手をすりゃ…いや、いい確率であんたは彼女と対峙する事になる。戦うことになる」
「あんたは自分が好きな女を、その手で殺せるかい?世界のために彼女を殺す覚悟はあるのかい?」
「もしも、その覚悟がねぇんなら……後ろに脱出用のパラシュートがある。とっとと降りちまった方が良いぜ」

 ここでPCのリアクションを待つ。
 以下にいくつかの予想をしてみた。

「彼女を救うために向かう」と答えた
 「フッ、とんだ自信家だな、あんた。まぁ、でもそう言うヤツも嫌いじゃねぇ。」*1

「それでも、逃げれない」と答えた
 「まぁそんなんでも覚悟が決まってりゃOKさ。なぁに、後は気合さ。火星にも『為せば成る、成せなきゃ為せ!』っていう格言があるしな」

「殺せる」と答えた
 「そうかい……強いな、あんた。気に入ったぜ」

 どんな答えをしたにせよニヤリと笑ってから
「一気にかっ飛ばすぜ。気をつけろよっ!」
 という掛け声と同時に≪脱出≫が使用される。オンボロ飛行機は北極点を目指して一気に加速する。*2

*1
 この問いに正解はない。が、おそらくカーロスが『カブト』の立ち位置の場合は「彼女を救うために向かう」という絶望的な選択肢を選ぶだろう。だから、その選択肢を選んだ場合は「嫌いじゃねぇ」と言いつつも嬉しそうにニヤリと笑うだろう。

*2
 キャストにカゼがおり≪脱出≫が余っている場合、ここでカーロスが後部座席にいるカゼを呼ぶ
「くそっ、このオンボロ言うことを聞きやがらねぇ!誰でも良い!手伝ってくれっ!」


Gray RoomN◎VA自作シナリオ復讐のメロディU