君には名前が無い。ただ、“Shadow Knocker”のハンドルがあるだけだ。もっとも、これに何らかの感慨があるわけではない。名前が無いことなど、君にとっては些細なことに過ぎない。
　君にとっての関心事はどうすれば主のためになるのか？ただそれだけなのだ。

　文字通り、君は主の影として生きてきた。否、もはや君は主の一部であると言っても過言ではない。
　時には主の目となり、時にか主自身の身代わりとなり、時には主の盾となり、時には主の長い腕として、君は様々な任務を成功させてきた。
　しかし、君の任務は過酷だ。一流である君の腕を以ってしても、死は常に隣人だ。しかし、それに恐怖を感じることは無い。
　君が死んでも、代わりがいる。例え死ぬことになろうともそれが少しでも主の利益に繋がるのならば本望だ。
　そして、今日も君に指令が下される。それはとても危険な仕事かもしれないし、とても汚い仕事かもしれない。
　だがどんな任務であろうとも君はこう答えるだろう。「Yes, Master.仰せのままに」