系列系としては最大手の千早系列のメディア企業。 　系列系でありながら公平な報道を謳っており、例え身内が相手も逃げに走らない報道姿勢は高く評価されている。

　このニューロエイジにおいて、情報はとても重要なリソースの一つである。それゆえに、最も有力な情報源のひとつであるメディアに関する大衆の観察眼は自然とシビアになる。
　そのためどうしても報道姿勢が親企業よりになってしまう系列系のメディア企業のニュースチャンネルは、企業の利権にさほど左右されない第三者系のメディア企業のニュースチャンネルに勝てないというのが常識だった。

　しかし、マリオネットの不祥事事件を受けてこの常識とも言える構図が揺らぎつつある。
　公平さの代名詞であるはずのマリオネットすら、日本に大多数の株を握られ公平かつ的確な報道が行えているわけでは無いという心理が第三者メディアへの不信感を呼んだのである。
　この機に乗じるように千早重工主体で設立されたニュース専門の千早系マスコミ企業、それが「チハヤ・ニューズ・ネットワークス」通称ＣＮＮである。

　まずＣＮＮは初期加入料を免除する等はもちろんのこと、他にも千早系列という強みを生かした大々的な獲得戦略を展開し、これを成功させた。これによりＣＮＮは千早系列以外にも多くの顧客を獲得することに成功したのである。
　またＤＡＫ日本とも提携を結んでおり、そのサービスの充実ぶりやサポート体制においても抜かりない。一度獲得した顧客を逃さないための体制も万全と言える。

　こうして数多くの顧客を獲得することに成功したＣＮＮだが、肝心の番組内容に関してもぬかりはない。
　ＣＮＮは設立に際し「メディア界の新スタンダートを目指す」という目標を掲げ、その目標に恥じないだけの結果を残している。
　他のメディア企業よりもいち早く報道する情報鮮度の高さ、相手が例え千早内部に関することでも追及の手を緩めることのない公正な報道姿勢、そして深い考察と詳細な背景情報の説明による質の高いニュース内容。
　ＣＮＮは情報鮮度・客観性・質のどれにおいても評価が高く、サービス開始から半年ほどでメディア界屈指の優良企業として名を知られることとなった。

　ＣＮＮがここまで成功した秘訣はいくつか存在するが、その最たるものとして挙げられるのが事件予測能力である。

　二秒に一度は犯罪が起こるというこの街で発生する事件の量はそれこそ星の数ほど存在する。もちろんその中の大半は取るに足らない事件だが、しかし一見そういった小さな事件でも実際は大きな事件と繋がっていることも多々存在する。
　まず、ＣＮＮは過去の膨大な事件データを分析しデータベース化した。そして常時現在進行形で展開しているあらゆる事件をこのデータを基に分析、その結果現在進行形の事件の中でも特に重要度の高い事件を選出することができるようになったのである。
　またそれと同時に事件に直結しなくともあらゆる情報を解析し続けている結果、現在起こっていない事件でも事前に事件が起きる可能性を算出し、事件を先読みすることもできる。
　これらの事件予測能力を用いることにより、ＣＮＮはどこよりも早くそして的確な報道を行うことが出来るのである。

　しかし、この事件予測というのはそう簡単に行えるものではない。あらゆる業界を網羅する広大で繊細な情報網、そしてその膨大な情報量を分析処理できるだけの超ＡＩの両方があって初めて行えるものなのだ。
　つまり、この事件予測を元とした的確な報道体制は千早グループという強力な後ろ盾があるＣＮＮならではの手法なのである。

　このような事件予測により特ダネを連発しているＣＮＮだが、同時にフリーランスからの持込に関してもかなり力を入れていることで知られている。
　持ち込み記事に対する報酬額は業界内でもかなり高い部類に入り、また実際の記事への編集に関しても売り込んだトーキーの意見を反映させる度合いが高いと評判になっているのだ。
　ただし提示されている条件が破格である分、ニュース内容の質や公平さに要求する水準もまた高い。
　中途半端な記事を持ち込んでも門前払いを喰らってしまうのがオチだが、しかしそれでもＣＮＮの提示する条件は魅力的であり、フリーランスのトーキーたちの間では「自信作のニュースを売り込むならまずＣＮＮ」というのが通説となりつつある。

　系列企業であるがゆえに「取り繕っても千早よりの報道」と陰口を叩かれることも多い。しかしそんな声をものともせず、ＣＮＮは着々と実績を積み重ねている。
　ＣＮＮは業績の好調を受けニュース以外にもチャンネルの幅を広げるという計画もあるという。